【ソウル聯合ニュース】「いまだに実感がわかず、気持ちを落ち着けようとしているところだ。ただただ感謝し、私に与えられた作品に精一杯取り組んでいかなければという思いだけ」――。韓国の女優として初めて日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を受賞した女優のシム・ウンギョンが9日、韓国の所属事務所を通じてコメントを発表した。
シム・ウンギョンが日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した日本映画「新聞記者」のスチールカット(提供写真)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
日本映画「新聞記者」に主演したシム・ウンギョンは、6日に東京で行われた第43回日本アカデミー賞授賞式で最優秀主演女優に選ばれた。会場で名前を呼ばれると、何度もまばたきを繰り返して驚きの表情を浮かべ、ステージ上では涙をあふれさせながら、「(受賞を)全く予想していなかったので、(あいさつを)準備していなかった。ごめんなさい」と述べた。
6日に開催された第43回日本アカデミー賞授賞式で最優秀主演女優賞に輝いたシム・ウンギョン(授賞式のツイッターから)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
あらためて韓国メディア向けに出したコメントではまず、「このように大きな賞をくださり、本当に感謝する」とあいさつ。ほかの作品もそうだが、「新聞記者」も多くの人々の苦労と応援があって完成したと思うとし、「この先も作品一つ一つに真心を込め、作品の役に立つ演技ができるよう最善を尽くす」と語った。
「新聞記者」に主演した松坂桃李(左から)とシム・ウンギョン、藤井道人監督(日本アカデミー賞授賞式のツイッターから)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫)
シム・ウンギョンは25歳の若さながら、キャリア18年目の実力派。2003年に韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」で子役デビューし、映画「サニー 永遠の仲間たち」(2011年)、「怪しい彼女」(2014年)を大ヒットさせた後も数々の映画に出演し、演技の幅を広げてきた。
デビューが早かっただけにスランプも味わった。高校時代は米国に留学し、慣れない土地と言葉に苦労したが、ニューヨークで多数の公演を観覧して刺激を受けたことは今の芝居にも役立っているという。
日本へは17年に芸能プロダクションと契約して進出した。
「新聞記者」は東京新聞記者の著書を原案とする作品で、現政権のスキャンダルを連想させる。テレビでは宣伝されなかったが、一部新聞やSNS(交流サイト)での口コミで評判を呼び、今回の日本アカデミー賞では作品、主演男優、主演女優の3部門で最優秀賞を獲得した。
シム・ウンギョンは国家の闇を追う主人公の若手記者、吉岡エリカを演じた。日本人の父と韓国人の母を持つという設定で、シム・ウンギョンは日本語を1年間学んだ上で役に挑んだ。
藤井道人監督は、ひと月という限られた撮影時間と日本語という壁を乗り越え、シム・ウンギョンが素晴らしい演技をしたと称賛している。
今回の受賞は、新型コロナウイルスの猛威が暗い影を落とす韓国映画界に朗報をもたらした。映画評論家のチョン・ジウク氏は「そうそうたる日本の女優を退けるほど演技そのものが良く、それに加え、日本の進歩的な映画人たちがこの作品を応援したという面もあったろう」と分析した。
シム・ウンギョンは先ごろ韓国のケーブルチャンネルtvNのドラマ「マネーゲーム」(原題)の放送を終え、現在は日本に滞在している。日本での作品出演を検討していると所属事務所は伝えた。
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