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K―POPのルーツ描いた小説と「運命の出会い」 翻訳家の岡裕美さん

2020.03.23 15:25

【ソウル聯合ニュース】「1960年代にソウル・竜山の米軍基地を通じて欧米の音楽を受け入れた韓国大衆音楽の胎動期の姿は、第2次世界大戦後の日本で米軍駐屯地を中心に新しい音楽が広まった様子とも重なる部分があります。日本の読者にも興味深く読んでもらえると確信しています」――。

翻訳家の岡裕美さん(提供写真)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫

 2017年に第5回秀林文学賞を受賞した韓国の作家、李真(イ・ジン)の長編小説「ギター・ブギー・シャッフル」の日本語翻訳版が26日、新泉社(東京都文京区)から発売される。

 この作品を翻訳した岡裕美さん(44)は、「60年代の韓国芸能界と社会の状況をディテールまで生き生きと描き、主人公と一緒にタイムスリップしたような気分になれる作品」と語る。

 「ギター・ブギー・シャッフル」は、朝鮮戦争で戦争孤児となった主人公のキム・ヒョンが米軍のラジオ局から流れてくるポップスに魅了されてギタリストとなり、繰り広げられる物語だ。

 岡さんは「米軍基地のステージに立つためにオーディションに挑戦する若者たちの情熱やロマンスと絡めながら、当時の韓国社会の姿をリアリティー豊かに描いている」とし、「K―POPを楽しむ海外のファンが韓国歌謡や芸能界の歴史を理解する一助にもなる」と説明した。

 聯合ニュースの日本語ニュースチームに勤務しながら翻訳家として活動する岡さんは、ソウル市内の大型書店で偶然この作品に出会い、まるで映画を見ているように映像が浮かぶストーリーにほれ込んで翻訳を決意したという。

 韓国の60~70年代の音楽が好きで、米第8軍の舞台でデビューしたシン・ジュンヒョン、チョ・ドンジンなどの曲をよく聞いていたとし、「『ギター・ブギー・シャッフル』との出会いは偶然だったが、翻訳しながら運命を感じた」と笑顔をみせた。

 原文を生かした自然な翻訳が認められて韓国文学翻訳院の翻訳・出版助成対象作に選ばれ、約2年間翻訳作業に没頭。韓国文学ブームのけん引役を担う出版社のクオン(東京都千代田区)が版権仲介を行い、新泉社からの出版が決まった。

 岡さんは「翻訳には韓国語の理解力はもちろんのこと、日本語の文章力がより必要だ」とし、「日本にはない韓国ならではの概念を表現するため、数日間かけて訳語を考えることもある」と説明する。

 一方で、同作に登場する「タンタラ(芸能人などを見下して呼ぶ言葉)」という単語については、この小説の重要なキーワードであることから韓国語の発音のまま表記し、日本語で注釈をつける方法を選んだ。

 岡さんは「作品の内容をどのように効果的に伝えるかに最も気を遣う」としながら「ニュースを翻訳する際に、速報性や正確性だけでなく日本語として分かりやすい表現を工夫することが小説の翻訳にも役立った」と話す。

日本語翻訳版「ギター・ブギー・シャッフル」(新泉社ホームページより)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫

 兵庫県出身の岡さんは、大学卒業後の98年に初めて訪韓し、韓国文化の魅力に触れたことをきっかけに韓国語を学び始めた。当時は韓国語を学べる環境が少なく、中国語教室で開かれていた個人レッスンでハングルを習った。

 2002年には語学研修のためソウルで1年間暮らし、その後韓国・延世大で修士号を取得。大学院在学中に韓国文学翻訳院で文芸翻訳を学び、12年に韓国文学翻訳新人賞を受賞した。

 18年には韓国の芥川賞と呼ばれる李箱(イ・サン)文学賞を受賞した作家、キム・スムの長編小説「ひとり」の翻訳を手掛けた岡さんは、今後も韓国の近・現代の文学作品を幅広く日本に紹介したいと話す。

 岡さんは「翻訳の魅力は、異なる文化を持つ両国の間をとりもつパイプ役になれること」とし、「日韓両国が互いにより深く理解しあえることを願っている」と語った。

ynhrm@yna.co.kr

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