【ソウル聯合ニュース】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)が続く状況にありながら韓国経済の柱である輸出が好調で、年初の経済状況は順調に回復している。一方で、深刻な消費不振で対面で行われるサービス業が打撃を受けたことから、雇用が減り一般国民は経済が回復している実感を得られずにいる。好調な輸出と低迷した内需という状況が容易には改善されないとの見方が強く、「雇用なき成長」という懸念が現実化しつつある。
釜山港(資料写真)=(聯合ニュース)
◇輸出好調 年初の経済は順調回復
関税庁が15日に発表した資料によると、今月1~10日の輸出額(通関ベース)は180億ドル(約1兆9000億円)で前年同期比69.1%増加した。
1月も輸出は好調で、輸出額は前年同月比11.4%増の480億1000万ドルだった。
政府系シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)は7日に出した「経済動向2月号」で韓国経済について、「新型コロナウイルス流行の第3波で内需不振が深刻化したものの、商品輸出が増加し、景気不振が一部で緩和している」と診断した。
感染状況がさらに悪化せず、経済が好調を維持すれば、政府が示した今年の経済成長率の目標値である3.2%を達成できるとの見方もある。
2021年の韓国の経済成長率見通しを巡っては、国際通貨基金(IMF)が先月公表した資料で3.1%、韓国銀行(中央銀行)が3.0%と予想しているが、現状が続けば達成は難しくないとする楽観論も出ている。
海外の主要投資銀行(IB)や調査機関は21年の韓国の成長率見通しを上方修正した。
◇「雇用なき成長」が現実化
問題は雇用だ。雇用の創出に効果が大きい対面サービス業が打撃を受け、失業者が増え続けていることに加え、技術革新による産業構造の変化も影響を及ぼしている。
KDIが経済の専門家20人を対象に行った調査によると、今年の就業者数は5万人増加すると予想された。昨年10月に行った調査では18万人増加すると予想しており、大幅に引き下げられた形だ。
マイナス成長となった昨年の就業者数は21万8000人減少した。その反動があっても今年5万人増にとどまった場合、3%台の成長率を実現したとしても「雇用なき成長」との懸念が現実化することになる。
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