【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、ソウル市内で開かれた光復節(日本の植民地支配からの解放記念日)記念式典で演説し、「朝鮮半島平和を強固に制度化することこそ、南北双方に大きな利益となり得る」と強調した。
光復節の記念式典で演説する文大統領=15日、ソウル(聯合ニュース)
文大統領は朝鮮半島平和の強固な制度化に向けた「韓半島(朝鮮半島)モデル」の必要性を力説。「分断は成長と繁栄の最も大きな障害であると同時に恒久的な平和を妨げる頑強な障壁で、われわれもこの障壁を取り除くことができる」とし、「(北朝鮮との)統一まではより多くの時間がかかるとしても、韓半島モデルを作り上げることができる」と述べた。
韓半島モデルは統一前でも南北の共存、朝鮮半島非核化と恒久的な平和、北東アジア繁栄に寄与することを意味する。
文大統領は「韓国がいわゆるコリアディスカウントを払拭し、事実上の島国状態から脱却して大陸につながったとき、莫大(ばくだい)な利益を享受し得る」と表明。「和解と協力に向けた努力を止めさえしなければ、われわれが想像する以上の新しい希望と繁栄の幕が上がる」との見通しを示した。
文大統領は任期を約9カ月残しており、残りの任期中に首脳会談など南北関係の進展に向けた動ぎが注目される。
ただ、北朝鮮に新しい提案はしなかった。新型コロナウイルスなどに対応するため、北朝鮮に数回にわたって参加を提案した枠組み「北東アジア防疫・保健協力体」に関しても「東アジア生命共同体の一員である北も共に参加できるよう努力していく」と述べるにとどめた。韓米合同軍事演習に対する強い反発など、良好ではない朝鮮半島情勢を考慮したものとみられる。
一方、日本との関係については改めて対話の意志を表明した。文大統領は両国が進むべき方向として分業と協力を通じた経済成長を挙げ、「両国間の懸案はもとより、コロナ禍や気候危機など、全世界が直面した脅威に共同対応するための対話の門戸を常に開いている」とし、「隣国としてふさわしい協力の模範を示せることを期待している」と強調した。
また、「正すべき歴史問題については国際社会の普遍的な価値と基準に沿った行動と実践をもって解決していく」とし、両国の協力と歴史問題を切り分ける「ツートラック」の方式で解決するとした従来の立場を重ねて示した。
新型コロナウイルスを巡っては、「デルタ株の拡散による第4波にも必ずや打ち勝つ決意」とし、「10月には全国民の7割が2回目の接種まで完了し、目標接種率をさらに上げていく」との方針を示した。
韓国が開発途上国のうち初めて先進国に格上げされたことを取り上げ、「先進国の仲間入りを果たしたわれわれにはもう一つの夢ができた」とし、ワクチンハブ(拠点)国家への飛躍、グローバル・サプライチェーン(供給網)での韓国の役割強化、先導的な低炭素経済への転換などを進める方針を示した。
kimchiboxs@yna.co.kr