【ソウル聯合ニュース】日本による植民地支配に抵抗して1919年に起きた独立運動「三・一運動」から103年を迎えた1日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は政府主催の記念式典で演説を行い、「日本は歴史を直視し、歴史の前で謙虚にならなければならない」」として反省を求めた。
演説する文大統領=1日、ソウル(聯合ニュース)
文大統領は旧日本軍の慰安婦問題や強制徴用問題など、歴史に対する日本の心からの謝罪と反省なしには両国関係の隔たりを埋めるのは容易ではないと判断している。ただ、「対話の扉は常に開いておく」として対話と外交による解決を同時に強調し、政府の対日外交戦略である「ツートラック」の基調を維持した。
この日の演説は、文大統領が任期中に発表する韓日関係に対する事実上最後のメッセージという点からも注目を集めた。
文大統領は岸田文雄首相はもちろん、菅義偉前首相とも首脳会談を一度も行えておらず、両国関係の冷え込みが続く中で政府としては解決が急がれる状況だ。
これに加え、バイデン米政権が中国へのけん制を本格化させ、韓米日3カ国の協力を強化しようとする動きを見せており、韓日関係の改善は次期政権でも主要な課題とならざるを得ない。
このため、文大統領も今回の演説で日本に対するメッセージの度合いを巡って苦心したようだ。
結果的に、今回の日本に対する文大統領の発言は、過去の歴史と未来の協力を切り離して対応するというこれまでのツートラックの基調から大きく外れることはなかった。一部では、この日の演説が対話の可能性にやや重きを置いているのではないかとの見方もある。
文大統領は今年の演説で「近い隣人の韓国と日本が『一時不幸だった過去の歴史』を乗り越え、未来に向けて協力しなければならない」とし、「常に(日本との)対話の扉を開いておく」と述べた。
昨年の演説で「韓国政府はいつでも日本政府と向き合い、対話する準備ができている」と述べたのに続き、日本に手を差し伸べる姿を見せたといえる。
一方、日本に対して反省を求め、過去の歴史問題において原則に背くことはないと明言した点も注目される。
文大統領は今年の演説で「『一時不幸だった過去』のため時折悪化する隣国の国民の傷に共感できる時、日本は信頼される国になる」と述べたが、このような批判も過去に比べて強いトーンではないとの分析も出ている。
2018年の演説では「戦時中の反人倫的犯罪行為は『終わった』という言葉で覆い隠せない」として日本政府の謝罪を要求し、19年には「親日残滓(ざんし)の清算はあまりにも長く先延ばしにされた宿題だ」と指摘した。
昨年には「われわれはその歴史を忘れることはできない。加害者は忘れられても、被害者は忘れられないものだ」と述べた。
一部では文大統領の任期が終盤となり、現政権では新たな解決方法を見いだすのは難しいことを踏まえて批判のレベルを調節したのではないかとの推測も出ている。
任期末に大統領が事を荒立てた場合、次期政権に負担をかけることになりかねないためだ。
対話を強調しながらも新たな解決方法や具体的な提案をしなかったことも、韓日関係改善は次期政権で可能になるとの認識が反映されたものとみられる。
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