【ワシントン、ソウル聯合ニュース】米国がウクライナに侵攻したロシアへの輸出規制のために打ち出した「外国直接製品規制(FDPR)」措置の適用例外対象に同盟国の韓国が含まれず、韓国企業の被害が予想される。
韓国貿易協会で開かれた輸出入業界懇談会=28日、ソウル(聯合ニュース)
韓国政府によると、米商務省が先月24日(現地時間)に発表した輸出規制には、半導体や情報通信、センサーなど7分野の57技術に対しFDPRを適用するという内容が含まれた。
FDPRは、米国外の第三国の企業が製造した製品であっても、米国が規制対象と定めたソフトウエアや技術を使用している場合は輸出を禁じることができるという制裁ルール。これに基づき、韓国企業はFDPR適用対象の製品をロシアに輸出する場合に米商務省の許可が必要になる。半導体やコンピューター、通信機器など情報通信技術(ICT)分野の企業が直接影響を受ける。
半導体に限ってみれば、ロシアへの直接の輸出量は全体の0.06%にとどまる。だが、韓国企業の現地工場で使う部品まで考えると被害は一段と大きくなりそうだ。FDPRにより現代自動車や起亜などの韓国企業のロシア工場に完成車製造のための半導体チップなどが供給されなくなれば、生産への支障は避けられない。
スマートフォン(スマホ)などの消費財までもが規制対象に含まれれば、ロシア国内でスマホシェア30%(2021年)を占めるサムスン電子をはじめとする韓国電子機器メーカーの輸出も制限される恐れがある。
今後具体化する制裁品目に韓国のロシア向け主力輸出商品がどれほど含まれるのかにより、制裁の影響を受ける企業数など被害の範囲が明らかになる見通しだ。
さらに大きな問題は、製造業における韓国のライバルでもある主な米国の友好国がそろってFDPR適用の例外対象となったことだ。米商務省は、ロシアに対する独自制裁を発表した欧州連合(EU)加盟27カ国とオーストラリア、カナダ、日本、ニュージーランド、英国の32カ国をこの規制の適用対象から外すことを決めた。これらの国は米国と同様の独自制裁の実施を決めたため、自国政府の許可があれば輸出を可能とした。
だが、米国の輸出規制には参加するものの独自制裁には踏み切らなかった韓国は、FDPR適用の例外対象に含まれなかった。最悪の場合、例外対象の国の企業が自国政府の判断に基づきロシアへの輸出を問題なく続ける中、韓国企業は米商務省の承認を得られず輸出の道が閉ざされるという事態もあり得る。
韓国政府はFDPR適用の例外を認めてもらうため、今週中に米商務省と交渉する。韓国側はこのほど米財務省に、ロシアに対する戦略物資の輸出禁止に加えて追加の輸出制裁も検討していると伝えた。
tnak51@yna.co.kr