【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期政権は国政運営の根幹をなす国政ビジョンに「再び飛躍する韓国、共に豊かに暮らす国民の国」を掲げ、国益と実用、公正、常識を原則に国政運営にあたる。次期政権への移行を準備する政権引き継ぎ委員会が3日、国政ビジョンの下に設定した六つの国政目標と110の国政課題を発表した。同委員会は3月18日に発足後、国政の現況を把握した上で、尹氏の公約を土台に国政課題の取りまとめを進めてきた。
政権引き継ぎ委員会が全体会議を開き、尹氏(中央)に国政課題を報告した(共同取材)=3日、ソウル(聯合ニュース)
政権引き継ぎ委員会がまとめた110の国政課題が尹氏(右から2人目)に伝達された=3日、ソウル(聯合ニュース)
政権引き継ぎ委の安哲秀(アン・チョルス)委員長によると、次期政権の国政ビジョンには、国家競争力を回復し先進国として再飛躍し、国民一人一人の暮らしが向上する国を実現するという意味が込められている。
公職者の行動規範である国政運営の原則としてまとめた国益と実用、公正、常識の四つは、何が国民のためになるかを基準に政策を立て、理念でなく国民の常識に沿う国政を運営するとの原則を反映したものだという。
政権引き継ぎ委は六つの国政目標として▼常識を取り戻した正しい国▼民間が引っ張り政府が後押しするダイナミックな経済▼温かく寄り添い、誰もが幸福な社会▼自律と創意で生み出す動じない未来▼自由・平和・繁栄に寄与するグローバル中枢国▼韓国のどこでも暮らしやすい地方時代――を挙げた。政府の経済イニシアチブ(主導権)を企業と国民に移して民間の創意と活力を引き上げるという意気込みや、国益と実用中心の外交戦略、堅固な国防力を土台に「影響を与える国」に生まれ変わるという構想がうかがえる。
こうした国政目標の下に110の国政課題が提示された。
新型コロナウイルス禍からの完全な立ち直り、不動産市場の正常化、脱原発政策で崩れた産業エコシステムの復元、財政の持続可能性の向上、寄付と税金で運営される非営利団体の透明性確保といった国民との約束を盛り込んだ。
大統領は帝王的な権力を手放して意思疎通を図り、政府はデジタルプラットフォームによる効率的な国政運営に臨むことになる。
また、自由な市場形成に向けた全面的な規制改革の推進、革新的な金融システムの構築、株式譲渡所得税の段階的な廃止をはじめとする課税制度の合理化を掲げた。社会的な合意を経た年金改革にも着手する。若者向けのきめ細かな支援も主要課題に挙げた。
次期政権は世界トップ5の科学技術立国を目標に、半導体やディスプレーなど他を寄せ付けない戦略技術を集中的に伸ばし、宇宙時代に向けた技術力の確保に取り組む計画だ。
一方、南北関係については、原則に立脚した関係を築いて朝鮮半島の非核化と平和を実現し、統一の基盤を固めると表明した。
「地方の時代」を開くための国政課題は、地域均衡発展特別委員会を軸に今後具体化する方針だ。
政権引き継ぎ委はこれらの国政課題を進めるのに新たに209兆ウォン(約21兆5000億円)を要すると見積もった。財政支出の構造見直しと経済成長に伴う税収増により財源を確保したい考えだ。
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