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韓日をつなぐ

ドラマ「パチンコ」のパク・ソヒ 「在日」として2世役を熱演

2022.05.11 14:32

【ソウル聯合ニュース】「私のアイデンティティーは韓国人でも韓国系日本人でもありません。在日はただ在日です」――。米動画配信サービス、アップルTV+(プラス)のオリジナル韓国ドラマ「Pachinko パチンコ」でモーザス役を演じた在日コリアン3世のパク・ソヒ(朴昭熙、46)は聯合ニュースのオンラインインタビューに、自身のアイデンティティーは「在日」だと力を込めた。

パク・ソヒ(アップルTV+提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫

 在日コリアンを指す日本語の「在日」は、日本による植民地時代に日本に渡った人々が差別に耐えながらアイデンティティーを守ろうとした歴史まで含む言葉といえる。

 在米コリアン作家ミン・ジン・リーのベストセラー小説「パチンコ」をドラマ化したこの作品は、植民地時代に渡日した韓国人一家の姿を4世代にわたって描いた。

 物語は韓国・釜山の海辺に生まれた少女ソンジャを軸に展開する。モーザスはソンジャの次男で在日2世のパチンコ店社長だ。パク・ソヒは、日陰のビジネスとして日本人が手掛けようとしないパチンコ事業に在日が「生きるため飛び込んだ」と説明した。

 歴史的な背景や日本社会の風土から就職が難しかった在日は、焼肉屋などの外食業、あるいはパチンコのような遊技業に従事することが多かった。パク・ソヒによると、ドラマ「Pachinko パチンコ」は在日の人生をそのまま映し出す作品だ。韓国のベテラン女優ユン・ヨジョンが演じる晩年のソンジャに亡くなった自身の祖母を重ね合わせ、感情がこみあげてくることもしばしばあった。モーザスという人物については、淡々とした口ぶりながらも「在日の存在を世界中に知ってもらうのに一役買ったという自負がある」と語った。

 パク・ソヒは「パチンコ」の著者とは面識があった。著者が在日をモチーフにした小説を構想してインタビューをしていた際、パク・ソヒも快く応じた一人だ。生い立ちや家族について語り、アイデンティティーの悩みなどを抱えていた知人を紹介したりもした。

 パク・ソヒの祖父は韓国の慶尚北道が故郷。在日2世の父は在日同胞の民族紙「統一日報」の創刊メンバーに加わり記者となり、退職後も報道や人権運動に尽力した。差別を避けるために日本式の通名を使う在日が多かった時代に、父は子どもたちに韓国名を使わせた。パク・ソヒは進級や進学のたびに身構え、時には名前をからかう相手とのけんかも辞さなかったという。

 日本を飛び出して広い世界で生きたいと夢見て早稲田大学に進み貿易を専攻するも、結局は俳優の道を選んだ。幼いころから大の映画好きで、俳優という職業にも自然と関心を持ったのだ。劇団に入ってからも韓国名を使い、10年ほどの間、舞台や映画などに出演してきた。

 パク・ソヒは2008年、米映画「ラーメンガール」の出演を機に活動の場を米国に広げる。そしてソウジ・アライという日本名を使うことになった。現地の映画やドラマなどは日本人役を日本人に配役する傾向が強く、韓国名ではオーディションどころか書類審査にも通らなかったからだ。役者を続けるにはそれしかなかったと、寂しそうな笑みを浮かべた。 

 小説「パチンコ」が発売されるとすぐに買い求め、何度も読み返しては泣いた。在日としての人生を過ごした祖父母と父母を思い、自身が経験した痛みもよみがえった。ドラマ化が決まるとオーディションに応募し、射止めたのがモーザス役だった。

 モーザスはパチンコ店を経営して富を築き、息子のソロモンには差別を体験させまいと、夢をつかむチャンスがあると考えた米国に留学させる。パク・ソヒは、在日の中でも2世は言葉や文化などの面でアイデンティティーが脅かされる最初の世代だとし、そうした意味でモーザスは最も身近な在日をあらわしていると分析した。

 劇中で特に心に残る場面を尋ねると、モーザスが母ソンジャに付き添って祖父の墓参りのため釜山を訪れたシーンを挙げた。50年ぶりに里帰りしたソンジャが役所で、韓国人ではないかのように冷たくあしらわれる。怒りを感じたモーザスが抗議しようとするが、ソンジャが押しとどめる。パク・ソヒは日本での差別は外国人だからと我慢することもできたが、母国での無視は耐え難いとした。

 「Pachinko パチンコ」の試写会は3月16日、米ロサンゼルスのアカデミー映画博物館で開かれた。パク・ソヒは胸の片側に朝鮮半島、もう一方に日本列島をかたどったバッジをつけて出席した。両方の国に属しながらも境界人である自身のアイデンティティーを示そうと手作りしたバッジだった。

 日本ではごく少数の右翼による在日へのヘイトスピーチもあるが、ほとんどの日本人は良識があり友好的だと彼は語る。ドラマを見た日本の友人たちも「感動した」「在日の存在がよく分かる作品だ」と歓迎したという。

 パク・ソヒは14年と17年に韓国の在外同胞財団がソウルで開催した「世界韓人次世代大会」に参加した。同じようにアイデンティティーに悩む参加者と友情を結び互いの支えになれたことを、大きな財産だと感じている。

 一方、アップルTV+は先ごろ、「Pachinko パチンコ」シーズン2を制作すると発表した。パク・ソヒもモーザスとして引き続き出演予定だ。この作品のおかげで知名度も上がった。今の彼の夢は、各国の在外同胞社会を訪ね、移民の歴史や彼らの人生を伝えるドキュメンタリーをつくることだ。

ドラマのワンシーン。息子役のパク・ソヒ(右)と母親役のユン・ヨジョン(アップルTV+提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫

mgk1202@yna.co.kr

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