【世宗聯合ニュース】韓国政府系シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)は9日発表した「6月の経済動向」で、韓国経済について「世界的な供給網(サプライチェーン)の混乱と原材料価格の急騰により景気回復の勢いが弱まっている」との見方を示した。
輸出の伸びも鈍っている(資料写真)=(聯合ニュース)
KDIは3月に原油価格の高騰など海外要因を挙げながら「景気の不確実性が大きく高まった」とし、4月と5月にはロシアのウクライナ侵攻と中国での新型コロナウイルス対策の都市封鎖により「景気の下振れリスクが一層拡大した」との認識を示した。それでも緩やかな景気回復は続いていると言及していた。
KDIの担当者は「先月は景気の下振れの可能性があるという点で『下振れリスク』という表現を使ったが、今月は輸出の増勢が鈍化し製造業の生産も萎縮するなど、景気回復の勢いの弱まりが実際の指標に現れた」と説明した。
1日平均の輸出額の増加率は3月の24.0%から縮小しており、5月は10.7%にとどまった。輸出量の増加率も下がっている。
4月の鉱工業生産指数は前月比3.3%低下した。半導体や自動車、一次金属、金属加工、食料品など主要業種が軒並みマイナスだった。生産能力指数も前月比0.4%低下し、2020年8月以来の低水準となった。
4月の設備投資は機械類と輸送用機械を中心に減少した。世界的な供給網混乱が響き、自動車など耐久財の消費の落ち込み幅も拡大した。
生産と設備、投資がそろって後退するのは20年2月以来、2年2カ月ぶり。
一方、物価高は加速している。5月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比5.4%と、13年9カ月ぶりの高水準だった。KDIは「原材料価格の急騰による物価高のために家計と企業の購買力が低下している」と懸念。国内と海外の利上げと併せ景気の下振れリスクの要因に挙げた。
ただ、景気回復の勢いが弱まっているという判断は今月出たばかりだとして「(景気回復の)局面が変わったとまでは見ていない」と述べた。
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