【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前政権時代の2019年11月、船内で乗組員16人を殺害して逃亡した北朝鮮住民の男2人を北朝鮮に追放した事件を巡り、与党が文前政権を批判していることについて、同政権を支えた革新系最大野党「共に民主党」所属の国会議員らは13日に記者会見で「16人を殺害した猟奇的な凶悪犯までも韓国の国民として受け入れるべきだというのか」と反論した。
記者会見する共に民主党議員(国会写真記者団)=13日、ソウル(聯合ニュース)
同党の金炳周(キム・ビョンジュ)議員は同事件の経緯について、「2019年8月に北の漁船で船員3人が船長の過酷な仕打ちに不満を抱き、船上で船長や船員ら16人を殺害した」と説明。「10月30日に韓国政府はこの凶悪犯が(朝鮮半島東の)東海で逃走しているということを把握し、翌31日にこの漁船が(海上の南北軍事境界線にあたる)北方限界線(NLL)を越えたため、11月2日に海軍が彼らを捕らえた」と伝えた。
金氏は、韓国が追放した北朝鮮住民は自ら韓国に来たわけではなく、一般的な脱北者とは違うと強調。脱北者について定めた法律も「殺人など重大な非政治的犯罪者は保護対象者としない場合がある」と定めていると説明した。
そのうえで、保守系与党「国民の力」が3年前のことを持ち出して「(文前政権の)罪をつくり上げようとしている」と批判し、「これ以上、安全保障や軍、情報機関などを政争の具としないよう促す」と述べた。
統一部は12日、南北軍事境界線がある板門店でこの住民2人が北朝鮮に強制送還される際の写真を公開した。写真には北朝鮮への引き渡しに抵抗する様子が捉えられている。大統領室の姜仁仙(カン・インソン)報道官は13日、「亡命の意思を表明したにもかかわらず強制的に送還したなら国際法と憲法に反する反人道的・反人倫的な犯罪行為」だとして、「真相究明が必要だ」と指摘した。
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