【ソウル聯合ニュース】韓国で14日、日本による植民地時代の強制徴用被害者への賠償問題を巡り解決策を探る官民協議会の2回目の会合が開かれた。
会合終了後、会見する被害者側の代理人=14日、ソウル(聯合ニュース)
外交部の趙賢東(チョ・ヒョンドン)第1次官が主宰し、被害者の代理人や被害者支援団体の関係者、学会・法曹界・経済界など各界の有識者らが出席した。
2回目の会合は4日の初会合から10日での開催となった。初会合があいさつを兼ねて各自が意見を述べる場だったのに対し、2回目は浮かび上がっている争点について具体的な議論が行われた。外交部は報道資料で「1回目の協議会で議論された内容を基に解決策などについて幅広い意見交換があった」と伝えた。外交部当局者は協議会後、記者団に対し、「1回目の協議会に比べてもう少し(争点に)焦点を合わせた討論が行われ、かなり多くの意見を聞くことができた」と説明した。
外交部によると、約2時間20分にわたり行われたこの日の会議では、日本の謝罪問題や被害者側が提起した「外交保護権」などについて意見交換した。
韓国大法院(最高裁)は2018年10月と11月、新日鉄住金(現日本製鉄)と三菱重工業に対しそれぞれ被害者への賠償を命じたが、両社は賠償の履行を拒んでいる。これを受けて両社の韓国内資産を強制的に売却(現金化)するための法的手続きが進んでおり、早ければ今秋にも実現するとの見方が出ている。協議会では大法院で判決が確定した3件のみを扱うことを申し合わせ、協議を進めている。
この日会議では大法院の判決に従い日本企業が責任を果たすべきだが、これに応じない日本側の態度など現実的な制約をどのように解決していくかについて話し合ったという。
1回目の会合に出席した被害者側は、自国民の損害について、相手国の責任を追及する外交保護権を適用するよう韓国政府に要請。被害者が日本政府や日本企業と直接交渉できるよう外交的な努力を行うよう求めていた。外交部はこの日の会議で国際法における外交保護権の概念や、国がこれを行使するために必要な要件などを説明した。被害者側からも、日本企業との交渉を政府が仲介することを求める趣旨だったとの説明があったという。ただ、被害者側の代理人を務める弁護士は、会議後に記者団に対し、「(外交保護権の行使の)要件に該当しないためにわれわれが行使しないというものではない」とし、日本との直接交渉を引き続き要求するとの立場を改めて示した。
日本の謝罪問題については、謝罪の主体、方式、時期などに対して多様な意見が飛び交った。被害者側の弁護士は「強制動員という不法行為に対し日本政府と企業の双方の謝罪が必要だが、日本政府の強硬な態度をみると、現実的には(少なくとも)日本企業の謝罪が必ず必要との立場を伝えた」と説明した。
現金化を防ぐためには原告に支給する財源づくりが必要だが、その方法も主な争点になっている。第三者が基金をつくって賠償するいわゆる「代位弁済」の方式を選んでも被害者側は被告企業の参加が欠かせないとの考えを示している。被害者側の弁護士は「妥協案として代位弁済が議論される場合、少なくても基金の助成に被告企業の参加が欠かせないという意思を伝達した」と述べた。過去、韓日請求権協定により資金を受け取った韓国政府も道義的な責任があり、日本の謝罪を前提に韓国政府が返済する案も出されたという。
一方、三菱重工業を相手取った訴訟の原告である梁錦徳(ヤン・グムドク)さん、金性珠(キム・ソンジュ)さんの支援団体「日帝強制動員市民の集まり」と弁護団は、官民協議会に参加しないことを最終決定したと発表した。