【ソウル聯合ニュース】韓国統一部は30日、2023年度(1~12月)予算案のうち南北協力基金を今年の1兆2714億ウォン(約1300億円)から3.0%減の1兆2334ウォンで編成したと発表した。政府は北朝鮮の非核化措置に合わせて経済支援などを行う「大胆な構想」推進のため、来年の南北協力基金に対北朝鮮人道支援と開発協力の予算を7500億ウォン以上計上したが、現政権の財政健全化の基調を反映し、南北協力基金全体の事業費は昨年より減少した。
23年度の南北協力基金は今年に比べ3.0%減少した(イラスト)=(聯合ニュース)
事業費は1兆2310億ウォンで、19年から5年連続で1兆ウォン台を維持した。基金運営費は23億5000万ウォンが編成された。
分野別では、「大胆な構想」と関連性の高い人道協力のための予算が今年より15.1%増の7510億ウォン(60.9%)となり、最も大きな割合を占めた。
このうち、保健医療協力の予算を今年の954億5900万ウォンから1442億4400万ウォンに大幅に増やし、食糧、肥料などの大規模支援や北朝鮮のインフラ近代化などのための予算も編成した。
統一部の当局者は「コメは10万トン、肥料は14万トン程度を支援できる規模の予算を編成した」と説明した。
また、新型コロナウイルス関連では民生協力分野に「保健医療プラットフォーム」と感染症予防、管理システム構築のための項目も新たに追加した。
この当局者は「北の実質的非核化の進展に応じて『大胆な構想』の履行を後押しできるよう財政的基盤を用意した」とし、「気候・環境・疾病危機に対応できる民生協力システムも持続的に構築していく」と述べた。
北朝鮮住民の人権改善のための国際協力事業予算14億5000万ウォンが新たに編成されたのも特徴だ。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は北朝鮮の人権問題に積極的に対応する方針を示しており、国連など国際機関や非政府組織(NGO)などとより積極的な協力を推進するという意図が込められていると分析される。
一方で、南北協力基金のうち南北経済協力分野の事業は今年より23.1%減の4548億9000万ウォンにとどまり、南北社会文化交流事業の予算も今年より2.6%減少した。
冷え込んだ南北関係と開城工業団地進出企業の支援事業が終了段階に入った状況などを考慮したものとみられる。
南北協力基金は南北交流や協力事業に必要な資金を賄うためのもので、具体的な事業が推進される際に使われるため、実際の執行規模は南北関係の影響を大きく受ける。先月末の時点で南北協力基金の事業費執行率は5.2%となっている。
来年の統一部の一般会計予算は、今年(2309億ウォン)に比べ5.3%減の2187億ウォンで編成された。
南北協力基金と一般会計予算を含む統一部全体の予算(総支出基準)が減少したのは、18年以来5年ぶり。
一般会計予算の事業費は今年より114億ウォン減の1560億ウォンが編成され、脱北者の定着支援予算が872億ウォンと全体の約56%を占める。
統一部は韓国に入国する脱北者の減少傾向を踏まえ、脱北者の予算編成の基準人数を今年の770人から来年は550人に縮小したことで関連予算が減ったと説明した。
ただ、より充実した支援のために定着費用をこれまでの800万ウォンから900万ウォンに引き上げることを決めた。定着費用が引き上げられるのは19年以来4年ぶりとなる。
統一部はこのほか、朝鮮半島平和統一親善大使の委嘱や朝鮮半島平和統一公共外交協力団など国内外で統一への機運を醸成するための予算も編成したが、北朝鮮関連の偽ニュースモニタリング事業予算は除外された。
文在寅(ムン・ジェイン)前政権末期に推進された偽ニュースモニタリング事業は、事実上廃止手続きが取られることになったもようだ。
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