【ソウル聯合ニュース】韓国南部の釜山市が、国や経済界、地元市民などの全面的な支援を受けながら2030年国際博覧会(万博)の誘致に総力を挙げている。万博の開催が釜山を首都圏に引けを取らない南東部の拠点都市に生まれ変わらせ、さらには世界的な都市へ飛躍させるまたとないチャンスになるとの強い期待がある。
30年万博の釜山誘致を願う田んぼアート(釜山市農業技術センター提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
釜山は少子高齢化と成長力低下の悪循環に陥っている。市の人口は1995年の約389万9000人をピークに右肩下がりとなり、2021年末には333万3000人まで減少した。若者が職を求めて首都圏や他都市に流出し、活力が失われている。65歳以上の人口が全体に占める割合は昨年9月に21%を超え、国内の大都市では初めて超高齢社会に突入した。
こうした釜山にとって、世界のビッグイベントの一つ、万博の開催はこれ以上ないチャンスだ。韓国政府代表団はこのほど、博覧会国際事務局(BIE)に30年万博の誘致計画書を提出した。釜山市によると、誘致に成功した場合、政府と釜山市は30年5月1日から10月31日まで、釜山港北港の第2期再開発用地344万平方メートルで万博を開催する。
半年で5050万人の来場者を見込む。経済波及効果は生産誘発額43兆ウォン(約4兆4500億円)と付加価値誘発額18兆ウォンの計61兆ウォンに上り、50万人の雇用も創出できると期待する。
誘致活動の段階ですでに、主要なインフラ構築事業に進展がみられる。
釜山市の宿願である加徳島新空港の建設事業は今年4月、政府の財政事業評価委員会で事前の妥当性調査を免除された。国土交通部は8月に加徳島新空港の基本計画策定の準備に着手し、工期短縮なども積極的に検討することにした。新空港が開港すれば、釜山は世界的なコンテナ港の釜山新港と鉄道とともに、陸海空の輸送を網羅するグローバルな物流拠点都市に成長することが可能だ。
万博会場となる北港の再開発事業も弾みがついた。港と鉄道、市の旧中心部まで総合開発する228万平方メートル規模のプロジェクトで、4兆4008億ウォンが投じられる。
万博誘致を目指し、国内外で多様なメディアと形式を駆使したPR活動が始まっている。釜山という都市を発信する活動はグローバル都市への成長につながるとみられる。
10月には、広報大使を務める人気音楽グループのBTS(防弾少年団)が万博誘致を願うコンサートを釜山アジアド主競技場で開催する。ほかにも、米動画配信大手ネットフリックスの韓国ドラマ「イカゲーム」で世界から注目された俳優イ・ジョンジェが広報大使として活動している。
万博の半年の会期にはBIEの170加盟国が順次、自国の文化や最新技術などを紹介する行事を開く。各国の首脳クラスが経済使節団を帯同して参加する見通しで、韓国企業にさまざまなビジネス機会をもたらすと期待される。各国のパビリオン設置にあたっては、釜山の地元企業だけでなく蔚山市や慶尚南道など周辺地域にも受注の恩恵が行き渡ると予想される。
釜山エリアの経済界や市民団体などで構成される汎市民誘致委員会も、誘致をサポートする多様な活動を展開している。
市は万博を機に、グローバル金融拠点への発展も図りたい考えだ。KDB産業銀行と韓国輸出入銀行の釜山移転や、デジタル資産取引所の設立などを構想している。
市の曺有壮(チョ・ユジャン)万博推進本部長は、過去に万博を開催して発展した海外主要都市の名前を挙げながら、「30年の釜山万博開催は釜山市がグローバル都市として羽ばたく契機になる」と期待を示した。
万博誘致活動の一環として制作されたミュージックビデオのワンシーン(釜山市提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
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