【ソウル聯合ニュース】韓国と日本の最大の懸案である徴用問題の解決に向けた交渉が大詰めを迎えているとされる中、韓国の国家安保室と日本の国家安全保障局による協議も行われていることが3日、分かった。最後の争点を議論するため、大統領室の外交・安保政策を担う国家安保室まで本格的に乗り出し、交渉を加速させている。ただ、重要な争点である日本の被告企業の資金拠出が日本政府の拒否で実現不可能になったとされ、合意に至るかどうかは不透明な状況だ。
昨年11月、カンボジア・プノンペンで会談した尹大統領(右)と岸田首相=(聯合ニュース)
韓国の大統領室高官は聯合ニュースに対し、「外交部以外にも別のチャンネルが動いている」として、「両国の安保当局間でも十分な協議が行われている」と明らかにした。
主な交渉ルートは韓国の外交部と日本の外務省だが、韓国の国家安保室と日本の国家安全保障局の高官による戦略的な意思疎通も行われているという。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と岸田文雄首相の「政治的な決断」だけが残る段階に入っていることを示唆するものとみらえる。
2015年の旧日本軍の慰安婦問題を巡る合意でも韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権当時の李丙ギ(イ・ビョンギ)国家情報院長と日本の谷内正太郎・国家安全保障局長による協議が重要な役割をした。
韓国政府は日本に対し、「誠意ある態度」を示すよう求めながらも、突破口を見いだすための対策に苦慮している。大統領室は尹大統領と岸田首相が昨年11月、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に合わせて行った首脳会談で徴用問題など懸案の「早期解決」で一致したため、今が徴用問題を解決する適期と判断している。また、歴史問題を解決してこそ文在寅(ムン・ジェイン)前政権で悪化した政治・安全保障・経済などでの協力が回復するとみている。北朝鮮に対応するための韓米日の3カ国連携という観点からも徴用問題の解決を急ぐ必要があるとの認識もある。
ただ、賠償と謝罪を拒む日本に対する韓国内での反発世論、尹大統領が今月1日の独立運動記念日「三・一節」の式典で行った演説に対する批判的な世論の流れを注視している。歴史問題に言及せず、日本を「パートナー」と位置づげ、協力を強調した演説について、野党や一部の市民団体から「親日的な歴史観」との批判が強まっている。
このような状況を踏まえると、短期間で接点を見いだすことは容易ではないとの見解もある。
今月中に決着がつかない場合、5月に広島で開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)が次の機会になる。日本は尹大統領の招待を検討しているとされる。
大統領室高官は「交渉は終わってみないと分からない」として、結果は予断できないとの考えを示した。
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